峠-夏 | 徒然走稿

峠-夏

峠_夏

 峠だ
地の上に大の字になって、へたばる
「ほら、水」
やたら元気な相棒が、ギラギラの太陽を背負って、ボトルをつきだしてくる
ボトルには、きらきらと水滴が光っている
「さっき、ちょっと沢を登ってくんできたんだ。まだ、冷たいぜ」
こちらはまったく余裕無しにのぼってきたというのに、こいつは、まったく
しゃくにさわって、素直に手がのびない
「ほら、ボトル、おまえのすかっからかんだろ」
わたされたボトルから、ひんやりと沢の空気が手のひらに伝わる
たまらない
グビグビ、ごくんごくん
「美味いよな、やっぱ」
ああ、美味い
ありがとう